映画の感想
第二次世界大戦中にアウシュビッツ強制収容所で行われたことについて、検察官と新聞記者が真実を追い求めていくストーリーです。
冒頭に基本法2条2項の話が出てきました。
基本法とは、ドイツの憲法にあたるドイツ連邦共和国基本法のことで、2条2項は、原文では、「Jeder hat das Recht auf Leben und körperliche Unversehrtheit. Die Freiheit der Person ist unverletzlich. In diese Rechte darf nur auf Grund eines Gesetzes eingegriffen werden.」であり、日本語訳では、「何人も、生命に対する権利及び身体を害されない権利を有する。人身の自由は、不可侵である。これらの権利は、法律の根拠に基づいてのみ、侵すことが許される。」となります。
筆者は大学で憲法のゼミに所属していたことがあり、近年は、趣味で外国法を勉強していたため、このシーンだけで私の知的好奇心は刺激されました。
融通の利かない検察官であるヨハン・ラドマンは、真実の追求や正義の実現を最優先に考え、過去の記録を調査しますが、賛同する者は多くなく、途中であきらめそうになりながらも、何とか裁判までもっていきます。
この作品は、裁判の開廷までは丁寧に描かれていますが、裁判そのものは判決が字幕で記されるのみです。
裁判そのものは、映画化しても、興味のある人しか観ないから仕方ないのかもしれません。
この作品のテーマは、究極の状況でどう判断すればよいかという点だと思います。
もし自分だったら、仕事として強制収容所に配属された際に、命令されたことを断れば命が危うくなるという状況で、断ることができるか、また断らなかったことで、事後に処罰されることについて受け入れられることができるかということについて考えさせられます。
なお、同様の題材を扱った作品として、「コリーニ事件」の映画と小説が挙げられます。
筆者は、映画館でこの作品を観て衝撃を受け、小説も買いました。
映画鑑賞の記録
場所 ホームシアター
媒体 アマゾンプライム
番号 389